2009:8/25:
1980年代以降の北海道における日刊新聞市場の変動.
経済地理学会・北東支部例会(北海学園大学).
要旨:経済地理学年報(経済地理学会),55,pp436-437.

[掲出に際し、脱字は青字で補っている。]


1980年代以降の北海道における日刊新聞市場の変動

山田 晴通(東京経済大学)  



 日本ABC協会の公査部数と、国勢調査の世帯数を用いて、1980年から2005年までの6時点について、北海道における日刊紙の部数の推移を検討した。
 この期間の全国紙各紙の部数はほぼ横ばい、ないし漸減で推移しているが、『北海道新聞』朝刊は順調に増加している。他方、夕刊は各紙とも漸減し、結果的に『北海道新聞』の朝夕刊セット率は、全体で1980年の82%から2005年の54%へと大幅に低下した。
 このような「セット割れ」の状況は全国的傾向でもあるが、北海道ではそれが顕著な形で現れている。また、北海道では、地域ごとのばらつきが大きく、「セット割れ」がほとんどない地域(釧路、根室、函館)もあれば、顕著な地域もある。
 個別の地域市場の状況を検討すると、有力な地域紙の存在が、『北海道新聞』の部数に影響を与えていると思われる例もあるが、地域紙が弱小であったり、存在しない地域でも、著しい「セット割れ」が生じている例も多く、因果関係の判断は困難である。
 しかし、「セット割れ」など新聞の弱体化を示唆する現象は、1980年代からの一貫した傾向であり、その主因を、携帯電話やインターネットなど1990年代半ば以降に進んだデジタル・メディアの普及に求める考え方は、十分に適切とは言えない。


この学会発表をもとにまとめられた論文:「1980年〜2005年の北海道における日刊新聞市場の変動
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